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所在地  : 静岡県御殿場市
主要用途 : 診療所
構造規模 : 改修
延床面積 : 125㎡(約38坪)
竣  工 : 2016年5月
写  真 : 繁田諭

【 掲載等 】
architecture photo
tecture mag

                                 

家具や照明によって空間を分節し、病院的でない個の居心地を確保したクリニック

患者として診療所を訪れると、診療所らしい雰囲気そのものに心を暗くしてしまうことがある。
テクスチャーに乏しい化学的な素材の床・壁、または席数を最大限確保するために、壁際に長々と造りつけられたソファなど、ある程度パターン化された診療所らしい雰囲気に、自分が健康ではないことを必要以上に自覚させられてしまう。
それは、今回のプロジェクトである心療内科においては特に、非常に大きなマイナスだと思った。

心療内科や精神科では、患者に「プライバシーが守られている」と感じてもらえることが非常に重要になる。設計を開始した当初、クライアントからは、パーテーションで仕切るような、患者個々の空間が必要だと言われていた。だが、それでは費用がかかるうえ、何より患者を管理する、束縛するような雰囲気がどうしても出てしまう。そこで、大テーブルや家具、テーブルライトを使って空間を緩やかに分節するデザインはどうかと提案し、了承された。

まず、フロアの中央に大きなテーブルを設け、そのまわりを囲むように患者に座ってもらうレイアウトとした。真ん中の端から端に置いた特注のテーブルライトは目隠しを兼ね、患者同士のプライバシーを守ってくれる。空間を仕切る意図を患者に感じさせないよう、さまざまなインテリアで空間を構成することで、患者にとって、一人で訪れるお気に入りの喫茶店、または図書館のような、身をゆだねるパーソナルスペースが個々に見つけられる空間を目指した。

インテリアの生き生きとした自然素材の質感に、北側から障子を通して柔らかい光が空間を満たす。診療所の「人の持つ自然回復力・治癒力に働きかける」という考えに寄り添うような、ゆったりとした時間が流れる待合空間となったのではないかと思う。