所在地 : 静岡県三島市
主要用途 : 専用住宅
構造規模 : 木造二階
延床面積 : 124㎡(約37坪)
竣 工 : 2025年3月
写 真 : 繁田諭
場所固有の風景にどのように心地よく加わることができるか
伊豆半島を眼下に望む高台の立地である。
ご夫妻2人の終の棲家としてご依頼をいただいた。
まずなりよりも、良い立地を生かし素直に高台に住まう心地よさを感じられる家にしたいと考えた。ただ、心地よい立地であるが別荘地のような木立や美しい自然に囲まれた立地ではなく、あくまで住宅地でもある。
これまで環境の良い都市部山手で暮らしてこられたご夫妻が、セミリタイアを目前にあえて地方移住を決意された背景から、住宅地らしい高台の住宅とも少し違う、より豊かなご夫婦だけの時間や一人の時間を日々の移り行く光、時の流れを感じながら暮らせる居場所づくりを目指した。
高台の敷地から眼下を望む南側をご夫妻が一日で一番時間を長く過ごす居間や食堂として計画したが、前述した住宅地の高台という点において、ある程度ラフに配置計画しても美しい景観が必ず得られるというものでもない。
南側隣地とは8m近い高低差があるが、段差に建物を近づけると直下に都市部の暮らしとあまり変わりのない近隣の生活が垣間見えてしまい、一方で離してしまうと高台らしい気持ちの良い風景のダイナミズムが失われてしまうため絶妙な距離感を見つける必要があった。
慎重に配置を検討し、手前から順に建築空間そのもののによる奥行感、庭の木々、近隣の木々、その奥に町のたくさんの屋根が見え、伊豆半島のなだらかな山の稜線が見えるといったこの場所にふさわしい奥行の風景を見つける事に注力した。
敷地に対して45°角度を振って配置した食堂周りの空間や書斎には行き止まりのない回遊性を持たせ、南側の風景に対しては180°の開口を設けている。
日常の生活の中で室内を移動する時、常に同じコースだけを行きつ戻りつするような単調さとは違った回遊性のある身体的な動きを持たせ、外にある風景をただ同じ角度から行儀よく眺めるものとして定義するのではなく、視線の移ろいの中でより多彩で動的な関わりを感じられるよう工夫した。
また心に重心とバランスが必要なように、居場所にも重心とバランスが必要だと考えている。
この住宅のように積極的に外の風景と関わりを持っていく場合、その分心安らかな守りになる居場所も必要である。
開放的な場所、守りになる場所、そのどちらもプライバシーが確保されていることは前提である。そういった性格の違う居場所同志が対立軸のように並び立つのではなく、流れの中で心地よく居場所が連なるよう配慮して設計している。























